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遺伝子関連検査の標準化と品質保証:法改正を踏まえて

宮地 勇人

東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学


 遺伝子関連検査は、解析技術の進歩と分子異常の臨床的意義の解明により、一般患者診療に浸透し、さらにゲノム医療への応用が進められている。新規技術の利用展開として、次世代シークエンサーをはじめとした多項目同時解析(マルチプレックス)や包括的分析による次世代解析システムが開発され、施設独自開発の検査(laboratory developed tests: LDT)が臨床試験や患者診療に利用されつつある。これら遺伝子関連検査に基づくゲノム医療を遂行する上で、実用化、実施体制、適正利用、社会基盤整備など様々な課題がある。このような状況を踏まえ、ゲノム医療を実現するための取組みを関係府省・関係機関が連携して推進するため、「ゲノム医療実現推進協議会」が設置され、その中間答申に基づき、厚労省を事務局として、「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース(TF)」が2015年11月〜2016年7月に開催された。そこで、遺伝子関連検査の品質・精度を確保するため、対応方針案として、遺伝子関連検査に関する日本版ベストプラクティスガイドライン(日本臨床検査標準協議会)の要求水準が必要であると考えられ、具体的な方策等を検討・策定していくことが明示された。この議論を踏まえて、ゲノム医療実現推進のため、検体検査の精度を確保するための医療法および臨床検査技師等に関する法律の一部改正要綱が国会審議の上、2017年6月に可決された。法整備の一貫において、遺伝子関連・染色体検査(分子病理検査を含む)を自ら実施する場合、一律の基準として採用する規定とともに、追加的に設定する基準(案)として、責任者の設置、内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、適切な研修の実施、検査施設の第三者認定が挙げられている。本講演では、法改正を踏まえて、日本版ベストプラクティスガイドラインの要求水準を踏まえた遺伝子関連検査の標準化・品質保証の体制・環境整備の課題および取組みについて述べる。


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