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免疫組織化学の発色技術

冨永 晋

防衛医科大学校臨床検査医学講座


 免疫組織化学は、組織内の或る抗原と特異的に結合する抗体とによる免疫反応により、抗原の局在部位を観察する技法である。
しかし、それらには色がついていないため、抗体に標識した酵素を発色してその局在部位を可視化する酵素抗体法が中根氏とPierce氏により開発されてから47年が経過した。現在は組織中に存在する茶色の生体内色素との識別、あるいは免疫組織重染色のため様々な発色法が行われている。
病理診断あるいは研究分野では、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)あるいはアルカリホスファターゼ(ALP)を標識した抗体が広く用いられている。HRPとALPが標識酵素として選ばれた条件のいくつかには、既に製品化されていて比較的安価に手に入り、染色法も確立されていたからである。
HRPの発色には一般的にジアミノベンチジン(DAB)法が用いられ安定した反応産物として茶色の沈殿物となる。また、発がん物質であるDABを避け赤く発色するアミノエチルカルバゾール(AEC)法も用いられている。
ALPの発色には、アゾ色素法、テトラゾリウム法あるいはニューフクシン法などが一般的に用いられ赤色や濃青色の沈殿物となる。
また、重金属を用いてHRPではDABとニッケルあるいはコバルトを組み合わせた発色法、ALPでは鉛と黄色硫化アンモニウムを組み合わせた発色法も行われている。
今回は従来の発色条件を再確認すると共に余分な影響を避けるため賦活化の不要な抗EMA抗体と間接法を用いて発色の感度を比較検討する。
また、最近では緑色や紫色に発色する市販キットが販売されており、それを使用する機会があったのでその経験と注意点を併せて報告する。


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