■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第88回日本病理組織技術学会 > MassonⅠ液を用いたE.V.G.染色の基礎的検討

MassonⅠ液を用いたE.V.G.染色の基礎的検討

礒田浩二

群馬大学医学部病態病理学教室


〔はじめに〕病変による弾性線維の増殖・変性・崩壊・消失などの変化がみやすいElastica van Gieson染色は有用な証明法である.しかし,酸フクシンによる赤色とピクリン酸による黄色の染め分け,或いはそのバランスに苦慮していた.本来Masson trichrome染色に用いるMassonⅠ液のポンソーキシリジンをポンソーSに替えピクリン酸と組み合わせE.V.G.染色に用いたところ良好な結果が得られたので報告する.
〔試薬〕①MassonⅠ液(1%ポンソーSを60ml,1%酸フクシン100ml+酢酸0.2mlを20ml,0.5%アゾフロキシン100ml+酢酸0.2mlを20ml,最後に蒸留水400mlと酢酸20mlを加え使用液とする。②ピクロ・MassonⅠ液(ピクリン酸飽和水100ml +MassonⅠ液25ml)
〔手技〕
1.脱パラ・水洗後にパップペンで切片の両端に約8mmのマークを施す.
2.蒸留水3槽.
3.吸水紙で切片裏と周辺の水分を拭き取りハシゴに乗せる.
4.前田変法レゾルシンフクシン液(武藤化学)約700µlを滴下して室温60分.
5.水洗2分,蒸留水3槽.
6.1%塩酸70%エタノールで分別10回.
7.水洗2分,蒸留水3槽.
8.ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン5分.
9.水洗5分,蒸留水3槽.
10.ピクロ・MassonⅠ液20分.
11.吸水紙で切片裏と周辺の染色液を拭き取る.
12.純アルコールで上下素早く3回ずつ5槽(1枚ずつ分別).
13.キシロール上下に5回ずつ5槽馴染ませ封入.
〔検討内容〕①切片の厚さの検討②レゾルシンフクシン染色条件の検討③赤色色素の酸フクシン液およびシリウスレッド液とポンソーSを主体とする赤色色素混合MassonⅠ液をvan Gieson液とした染色標本の比較.
〔結果〕MassonⅠ液を用いたE.V.G.染色は弾性線維・膠原線維・細胞質がバランスよく染め分けられ,日常業務に使用可能な染色結果を得られた.
〔考察〕分子量で比較すると酸フクシン(分子量585.54),シリウスレッド(分子量1373.09),でありポンソーS(分子量 760.57)はこの間に位置することで適度な染め分けが可能になることが推察された.


例会抄録一覧へ戻る