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細胞診セルブロック標本の免疫組織細胞化学

濱川真治,櫻井 勉,近藤洋一,倉品賢治,若林 良,小坂美絵,柏崎好美

公立昭和病院臨床検査科

清水誠一郎

公立昭和病院病理診断科


近年,体腔液細胞診では出現している細胞の良悪の判定にとどまらず,原発巣の推定まで要求される様になってきた.また,乳腺や甲状腺,耳下腺などの表在臓器においては,エコーガイド下穿刺吸引細胞診による組織型推定が盛んに行われるようになっているが,判定が困難な症例も少なくない.
一方で免疫化学的染色法の発達は目覚ましく,腫瘍マーカーやリンパ球表面マーカー,細胞骨格フィラメント,細胞増殖因子,ホルモンレセプターなど,数多くの抗原検索が可能となり,細胞診分野でも応用されている.細胞診材料にて免疫組織化学的検索を施行する場合,封入剤を用いた細胞転写法やコロジオンバックなどを用いるセルブロック法によって検索が行われてきた.セルブロック法は,塗抹標本では細胞集塊の構築を十分把握できない場合などに対し,パラフィン包埋と薄切といった組織学的手法により連続切片を作製し,組織像と同様に観察することが可能となり細胞診の診断補助として応用されている.過去にわれわれは,一次抗体などを凍結保存しておく容器(クライオバイアル)を用いた2回遠心沈殿法にて,簡便にセルブロックを作製する方法を第72回病理技術研究会にて報告した.以来,操作性のよりよい技術を求め改良を重ね,体腔液材料において細胞沈渣が多い場合はプラスチック試験管を用いた垂直割断面の観察法,より微量な細胞沈渣検体に対してはエッペンドルフチップ法を考案してきた.
今回われわれは,体腔液などの液状検体細胞沈渣とともに,穿刺吸引における注射針接合部に残存する微量な細胞材料などに対しても,エッペンドルフチップによるセルブロック法を応用してきたので,その簡便な検体処理法と有用性について報告する.


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