■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第87回日本病理組織技術学会 > 組織薄切自動作製装置AS-400による標本作製効率化の試みと応用

組織薄切自動作製装置AS-400による標本作製効率化の試みと応用

金子伸行

東京大学病院


 東大病院では2012年2月に、倉敷紡績株式会社の組織薄切自動作製装置AS-400を導入しました。種々の検討を行いながら立ち上げを行っており、残念ながら導入から一年が経ちますがフル稼働とは言い難い状態です。本発表は実際の運用を中心に、導入から現在に至るまでに行ってきた試みについて紹介致します。
最初にブロック作製に関していくつか変更の必要がありました。ブロック幅は24mmまでと制約がありますが、水平調整機能のために異型の包埋皿が使用できない、ブロックのトリミングも制約される。また薄切方法が従来の滑走式ミクロトームとは異なるため、検体によっては包埋方向も変更する必要がありました。そのため、自動薄切用ブロックは包埋時に区別して作業ができるようにしています。  AS-400から導入された自動面出し機能ですが、手術検体などの比較的大きな検体用の設定のみであったので、1mm程度までの小検体に使用できるよう自前で新たに設定を作製する必要がありました。自動面出しの精度は、検体の切り出し時の薄切面の状態の影響をかなり受けますが、確認画面での再薄切機能を用いることで対応しています。今のところ検体サイズによって設定を変更する必要が生じますが、日常業務で運用できるものとなっています。
当院では3名で薄切を行っておりましたが、この一部をAS-400で併行処理しています。これまで種々の臓器を処理してきましたが、子宮筋腫などの比較的硬い検体や、粘液を多く含む卵巣腫瘍などの処理は難しいようです。
AS-400については、開発時の機能評価に関わることが幸いにもできましたので、要望した多くの機能は採用して頂きました。しかし一般販売機には載せられなかった実験的な機能もありましてので、購入機にはこれらの機能を付けて頂きました。機能の主なものとしてはアンドイドやiPadなどのタブレット端末を用いた、Webカメラによる遠隔での画像による標本の作製状況の監視および、PCリモートソフトによる自動面出し機能の遠隔操作となっています。これらの機能についても使用状況をご紹介したいと思います。


例会抄録一覧へ戻る