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革新的技術を駆使した自動包埋装置「STP 420ES」のご紹介

坂田輝子

サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社


【はじめに】
 現在、多くの施設では病理検査におけるパラフィンブロック作製が、ロータリー式や密閉型自動包埋装置を用いておこなわれている。プロセッサーで脱水、脱脂、パラフィン浸透をおこなう目的は、組織内にある水分の除去と同時に脂質を溶出させ、最終的にパラフィンに置換することである。この処理が確実におこなわれていないとパラフィン浸透が妨げられ、後の薄切に影響を及ぼす。
 従来の密閉型自動包埋装置は、液の出し入れや加圧/減圧、加熱、薬液の攪拌、マイクロウェーブや超音波など様々な方法を駆使し、確実に脱水や脱脂をおこなう工夫がなされている。しかし、厚みのある組織や脂肪の多い組織などでは上手く置換されず、トリミングや脱脂などの前処理をしなければならない。
 そこで新たに従来の加圧/減圧、加熱に加え、革新的な技術である振盪攪拌機能によって薬液浸透性を向上させた「STP420ES」を発売したので概要を紹介する。

【製品の特長】
 密閉型自動包埋装置STP420ESの特長として以下の4点があげられる。①2チャンバー方式:ロータリーチャンバーとサブチャンバーが各々独立し、同時または個別に操作ができる)。②スイング方式:バスケットを回転させることにより液切れが良く、次の槽への持ち越しを最小限に止める。③より確実な薬液浸透:処理液の液体部と気体部を相互に通過させる機構を採用、カセット内の液通りを良くし、組織片につねに新しい薬液が触れるように工夫。④可視化:自分の目で中の様子が確認できる安心感。
 STP420ESは、新たなテクノロジーを駆使した密閉型自動包埋装置である。従来の装置とは異なった回転機構を採用することにより、従来法に比べてより薬液の浸透を高めることが可能となった。そのため、乳腺や大腸など脂肪の多い検体への薬液浸透・置換が改善され、前処理に掛かる時間や手間の軽減が期待できる。

【まとめ】
 STP420ESの特性を活かした脱水、脱脂、パラフィン浸透処理をおこなうことにより、良質なパラフィンブロック作製の一助になると思われる。


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