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PNA-LNA-PCR-Clamp法によるEGFR遺伝子変異検出

埼玉医科大学病院 中央検査部
松岡 優


【はじめに】  
上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子検査は、2006年4月より「悪性腫瘍遺伝子検査」の一項目として保険収載された。EGFR 遺伝子変異の検出をPNA-LNA PCR clamp 法を用いて検出したので報告する。
【方法】
喀痰、肺胞洗浄液、胸水、術中迅速診断時の腫瘍部擦過材をbufferに浮遊した細胞等を用い、DNA抽出を行った。検体には多量の正常細胞が存在し、その中の癌細胞からEGFR 遺伝子変異を検出する必要がある。そのためPNA-LNA PCR clamp 法により変異の検出を行った。この方法は、EGFR 変異遺伝子のみを特異的に増幅するため変異部位の野生型に対応する相補的な配列のPNA clamp primer を使用した。PNA はTaq DNA polymeraseの5’→3’エキソヌクレアーゼに耐性であり野生型DNAの増幅を阻害する。続いて変異型を検出するため11 種の変異それぞれに対応するLNA mutant probe を用いた。複数の遺伝子変異を単一反応で検出できるよう、各々のLNA mutant probe をFAM、TET 、Texas Red、Cy5 のいずれかの色素でラベル化し、1 反応あたり最大4 種類のprobe を同時に検出できるように設計した。今回は11 種類の変異を5 反応に分け検出を行った。Real time PCR はSmart Cycler® II System (TAKARA BIO)を用いた。
【結果】
全検体中38%にEGFR遺伝子変異が認められた。
【まとめ】  
PNA-LNA PCR clamp法はEGFR遺伝子変異を簡便にかつ短時間に検出することが可能であった。gefitinib治療前のEGFR遺伝子変異の情報は、同薬剤感受性の予測が可能となり、治療の選択枝を増やし、また副作用 の少ない治療に貢献できるものと思われる。


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