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当院におけるホルムアルデヒドに対する環境改善の現状と今後

東京慈恵会医科大学附属 第三病院 病院病理部
竹内行浩


【はじめに】
ホルムアルデヒド(以下:FA)が特定化学物質障害予防規則(以下:特化則)の特別管理物質に改正され、平成21年3月より規制強化が本格化した。特化則改正のうち最も新規な規制項目。1、特化則第5条によりFAのガスが発散する屋内作業場に対しては、発生源を密閉する施設、局所換気装置又はプッシュプル型換気装置を設ける。2、特化則第27条より作業主任者の選任、特化則第36条により作業環境測定士による作業環境測定を6ヶ月に1回、定期に行い、評価及び結果は30年保存する以上である。我々は、これらに対応できるように環境改善を行ったので報告する。

【改善方法】
FAガスが大量発散する切り出し室の改善として、特化則第5条に従い、①切り出し室を常に密閉する、②局所排気装置の使用強化、③蓋付きごみ箱への変更、④興研プッシュプル型換気装置(MU-01)1台導入し改善を図った。

【結 果】
特化則第36条による作業環境測定によりA測定結果0.05ppm、区分:Ⅱ、B測定値0.05ppm、区分:Ⅰ、第2管理区分(なお改善の余地)であった。

【今後の改善】
測定結果は第2管理区分(なお改善の余地)であり、その原因として最も考えられるのは、ホルマリン漬検体の切り出し作業及び検体保存容器である。作業場は狭く、エアコンの気流の影響がある為、FAガスは作業場内全体に拡散していると思われる。
改善方法としては、空気清浄機の導入により作業場内に拡散しているFAガスの除去を図って行く予定である。さらに有機溶剤中毒予防規則にて規制されるキシレン、メタノールに対する、局所排気装置の使用強化と空気清浄機による作業場の環境改善を図っていきたいと考える。
又、今回の改善による業務上の問題点としては、①局所換気装置とプッシュプル型換気装置のモーター音による騒音、②プッシプル型換気装置内切り出し時、組織の乾燥に注意が必要であるの2点があげられる。


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