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臨床検査監理運営における作業環境管理について
~ 有機溶剤・特定化学物質を中心に ~

(社)日本臨床衛生検査技師会 環境対策委員会委員長
常務理事 町田 幸雄


【はじめに】
一般企業では、7・8年前から「企業の社会的責任(CRS)」という言葉が使われてきた。企業の社会的責任(CSR)の定義や範囲は時代とともに移り変わり、近年は、従来とは違った角度から企業の社会的責任が議論されている。その背景には、「マルチ・ステークホルダー・エコノミー」と呼ぶべき新たな時代の到来がある。
企業活動を経済面のみならず社会面及び環境面からも評価しようとする考え方に『トリプルボトムライン』というものがある。医療機関、検査室も「企業の社会的責任」について考えていくべきであり、このトリプルボトムラインを考慮すべきであると考え、前年度より「環境問題対策委員会」を設けた。

【日臨技の考える環境とは】
『温暖化を初めとする地球環境対策』『私たちが働く職場環境対策』の側面を考えている。働く職場環境対策に関しては、物理的環境問題とメンタルケアを含む精神的環境問題を取り上げていく。
キーワードは、持続可能な開発である。持続可能な開発とは「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことを言う。
この概念は、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立つものである。言い換えれば、医療技術の発展のために環境を無視するのではなく、環境保全のために医療技術の発展を抑えるのでもない。共存の道を探るということである。

【有機溶剤・特定化学物質】
近年、話題となっている職場環境問題として、有機溶剤・特定化学物質の取扱があげられる。この問題に関しても、以前の個人情報保護法と同様、誤解、過剰反応が見られている。たとえば、自分たちの身を守る法律であるが、あたかも「自分の職場がなくなる」という訴え。「学会でゆるい管理限界を別に定めれば、それに従えばよい。」といった、なんの根拠もない投書。

今回は、従来とは少し変わった切り口で職場環境を考えていきたいと思う。


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