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カバープレート法を利用した免疫染色の報告

東京慈恵会医科大学附属柏病院 病院病理部
中島 研


 病理組織診断において免疫組織化学染色は診断のための補助的手段としてのみならず、治療方針の決定や予後の判定にも利用され、その有用性は増している。
現在、いくつかのメーカーから自動免疫染色装置が発売されている。以前よりも扱いやすく、信頼性も向上しているため導入している施設も増えていると思われる。しかしながら、自動免疫染色装置は高価であり、抗体や緩衝液等のランニングコストも馬鹿にならない。また、狭い検査室では装置の設置場所にも困ることもしばしばである。当院においても自動免疫装置の購入を希望しているが、未だにその目途は立っていない。当院における免疫染色検体は平均で1日に30枚から40枚程度であり、決して用手法が困難な枚数ではないことも事実である。
そこで我々は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社から発売されている免疫染色器具を購入し使用し始めた。これはカバープレート法を利用した器具で基本的な染色手技は用手法と同様であるが、スライドの拭き取りが不要で、試薬の滴下や洗浄等の操作が簡単に行える。また、試薬量の節減、検体の乾燥防止、染色性の均一化などの利点もあり有効な器具である。
比較的小規模な検査室や同じ抗体を使って多くの枚数染める研究施設などでは有効に活用できると思われる。
この器具が開発されてからだいぶ年月が経過しているが、関東地方におけるその知名度は低い。その要因はいくつか考えられるが、1番にはその価格設定にあると思われる。
器具の原理、使用法とともに染色例を提示して報告する。


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