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超音波を用いた固定、脱脂、脱灰装置『Histra-DC』の有用性

神戸大学医学部付属病院
山田 寛


【はじめに】
病理組織標本作成は検体採取から固定、パラフィンブロック作成、薄切、染色といった工程を行なう為、数日掛かるのが普通である。
病理診断の【迅速化】は染色ではマイクロウェーブ(MW)を用いた方法などの有効性が確立されている。一方、固定についてはMWを用いた方法などがあるが、温度管理などで人手の掛かる装置も見受けられる為、操作の簡易化ということも重要な要素となっている。
また脱脂や脱灰については、昔ながらの液浸、浸透法を用いる施設や超音波洗浄装置(SW)を用いて行い、この有効性と簡易性を検討した。

【方法】
超音波(SW)を用いた固定、脱脂、脱灰装置を用いて、病理組織標本作成までの【迅速化】を、現在一般に行なわれている液浸法と比較して、その有効性を検討した。

① 固定:ホルマリン固定において、液浸法とSW法との固定時間を比較。
② 脱脂:エタノール、メタノール・クロロホルムの2種の脱脂液を用いて脱脂時間を比較。
③ 脱灰:蟻酸、プランクリュクロ液、EDTAなどの脱灰液をもちいて脱灰時間を比較。

その後、各項目において染色を行ない、液浸法との染色性の比較も行なった。

【結論】
固定、脱脂、脱灰のいずれにおいても、液浸法よりも時間短縮され、病理標本作成までの【迅速化】に有効な事が確認された。
また染色性においても、通常法と遜色なく組織へのダメージも少ない事が証明された。


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