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ヒスト・テック クーリエを用いたパラフィンブロックの冷却と効果

サクラファインテックジャパン株式会社 坂田輝子


【はじめに】
現在約96%の施設で薄切前にパラフィンブロックの冷却が行なわれている*1が、実際に冷却する時間や方法は使用する人や施設によってさまざまである。
冷却条件がブロックのコンディション、如いては薄切のコンディションに変化をもたらすことは明確であり、ミクロトームの送り精度が向上した近年においてはその差が顕著に感じられるようになった。このような背景から、今回ブロック表面を均一に冷却し、薄切精度を向上させることを目的としたパラフィンブロック冷却装置「ヒスト・テック クーリエ」を開発、それに伴う試験を実施したので報告する。

【方法】
Ⅰ.各冷却方法における表面温度とパラフィンブロックの表面温度測定
氷水、ヒスト・テック クーリエ、保冷剤、病理用クールプレートを一定時間冷却し、表面温度をサーモグラフィー(-2℃~15℃設定)で測定した。同様に氷水、ヒスト・テック クーリエでパラフィンブロックを約5分間冷却し、表面温度をサーモグラフィー(1℃~18℃設定)で測定した。
Ⅱ.パラフィンブロックの膨張距離測定
パラフィンブロックを-3℃~5℃間で冷却し、その温度毎に1分間の膨張距離を変位計で測定した。次に氷水で冷却したブロックの表面温度をサーモグラフィー(1℃~18℃設定)で測定し、ブロック表面を約1.5mmピッチでマトリクス化し、1分後の膨張距離からブロック表面の立体想定図を作成した。

【結果】
Ⅰ.各冷却方法の表面温度を測定したところ、氷水、保冷剤、病理用クールプレートでは冷却面の温度にバラつきがあることが確認されたが、ヒスト・テック クーリエは均一の結果を得ることができた。同様に氷水で冷却したブロック表面温度にはバラつきが確認されたが、ヒスト・テック クーリエで冷却したブロック表面温度は一定であることが確認された。
Ⅱ.氷水で冷却したブロックの最も冷却された部分と冷却されなかった部分の膨張距離差は9μmであった。

*1:2008年2月 サクラファインテックジャパン調べ(n=51)


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