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アルミ製凍結包埋容器と凍結装置UT2000Fの有用性

ライカマイクロシステムズ株式会社 営業部 高橋克巳


 近年、凍結試料から顕微鏡用標本作製を行う研究分野が増えてきている。
凍結試料を使用する目的は、より生体に近い状態で抗原やDNAなどの活性を維持し、機能確認をすることと、より迅速に研究結果・試験結果を導き出すことにある。
組織から急速に熱を奪う方法としては、低温にした冷媒の中に入れる浸漬法と、低温にした金属に接触させる金属圧着法とがある。
現在用いられている凍結技法としては、プラスチック製の容器に組織と包埋剤(コンパウンド)とを入れ、冷却した液体の中に浸漬して凍結する方法が一般的に使われている。
旧ファインテック株式会社では、プラスチック製容器の代わりに、東京都老人医療センター、病理部の後藤博先生の考案した、アルミ容器とクリオスタットに取付けるためのアルミ製の試料台を作製した。
この組み合わせにより、今までのプラスチック製の包埋容器の問題点であった、
1.プラスチックは熱伝導率が低いため、凍結スピードが遅くなる。
2.凍結するとコンパウンドが膨張して組織面となる容器の底が膨らんだ状態で凍結され、凍結ブロック全面を出すためには、膨らんだ部分を面出し操作で削り取らなければならない。
以上の2点を解決することができる。
一方、ドライアイスよりも低温に冷媒を冷却し、凍結スピードをさらに速くするために、鶴見大学RIセンターの川本忠文先生のご指導の基に、2段コンプレッサー方式の凍結装置(UT2000F)を開発した。
この装置は、ほぼ全ての液体冷媒を使用することができるようにしたことと、温度管理を重要視してチャンバー内部の温度を表示できるようにした。
また、冷媒の温度は-100℃まで下げることができ、冷媒の容量は1.6リットルである。この大きな容量は連続的に試料凍結をしたり、ラット胎児などの大きな組織(包埋容器で5×4×3cm程度)を凍結しても温度上昇することがほとんどない。
これらの製品を使用することで、良好な凍結標本を確実に作製できるようになったため、製品の紹介を致します。


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