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ヒストファインHER2キット(MONO)HER2蛋白細胞外ドメインを認識
するモノクロナール抗体を用いたHER2検査

北野 由里子(株式会社ニチレイバイオサイエンス)


 HER2/neu癌遺伝子は、細胞膜を貫通し受容体構造をもつ分子量185kDaの糖蛋白質をコードしている。この蛋白の細胞外ドメインにはリガンド結合部位があり、リガンドが結合するとそのシグナルがチロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインに伝達される。これにより細胞の分化、増殖が促進されると考えられている。
ハーセプチンはHER2蛋白の細胞外ドメインを特異的に認識するヒト化モノクローナル抗体であり、HER2過剰発現が確認された乳癌の治療に用いられる。ハーセプチンの適応には、HER2蛋白の過剰発現または、HER2遺伝子の増幅を確認しなければならない。HER2蛋白の過剰発現を検査する方法としては、免疫組織化学染色が一般に普及している。そのほとんどは、細胞内ドメインを認識するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体によりHER2蛋白の発現を検査するものである。一方、細胞外ドメインを認識する抗体としては、TAB250、SP3(ウサギモノクローナル抗体) 、SV2-61γなどが報告されている。しかし、細胞外ドメインを認識する抗体を用いたキットで医薬品として認可されているのは、唯一、SV2-61γを用いているニチレイヒストファインHER2キット(MONO)である。ヒストファインHER2キット(MONO)は、細胞質の染色が少なく細胞膜にクリアーに染色されるため判定が容易であり、FISHとの相関性が高いという報告がある。また、抗原エピトープの賦活化処理は、蛋白分解酵素を用いるため、短時間で測定が可能という利点もある。
本講演では、ハーセプチンの認識部位と近い部位を認識するSV2-61γを用いたヒストファインHER2キット(MONO)によるHER2検査について報告する。


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