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SISHによるHER2遺伝子の検出

北村 和則(ベンタナ・ジャパン株式会社 カスタマーサポートセンター)


【はじめに】HER2タンパクを標的とした分子標的治療薬 Herceptin(Trastuzumab)は、当然、HER2タンパク過剰発現のある癌に効果がある。
従って、HER2タンパクの過剰発現はIHC法、HER2遺伝子の増幅はFISH法による厳密な検査が要求される。
FISH法は、手技が煩雑で蛍光顕微鏡を用いた観察が必要である。検査員、病理医にはかなりのストレスが掛かるであろう。また、蛍光の退色により永久標本にはならない。
そこで、組織形態を見ながら光学顕微鏡で観察が可能、シグナルもシャープでカウントし易い、SISH法について、染色法、判定方法、ベンタナ画像解析装置(VIAS)を使用した解析法を紹介する。

【SISH染色法】切片に、熱処理、酵素処理を行った後、HER2 or Chr17プローブをハイブリダイゼーションさせる。プローブを抗体で検出し、最終的には銀イオンに、HRP、H2O2、ヒドロキノンを作用させ、銀顆粒として、黒のシグナルを得る。
試薬はキット化されており、ベンタナXTシステムベンチマークを使用すれば、脱パラから核染まで全て自動で約6時間30分で終了する。機械化により、検査の標準化を実現する。

【判定方法】ベンタナのHER2遺伝子の判定方法は3ステップから成る。ASCO/CAPのガイドラインに沿った判定方法であり、最終的には、HER2/Chr17<1.8 (negative)、1.8<HER2/Chr17<2.2 (equivocal),2.2<HER2/Chr17 (positive) とする。

【ベンタナ画像解析装置(VIAS)を使用した解析】第72回病理技術研究会で紹介させていただいた、ベンタナ画像解析装置(VIAS)にソフトが組み込まれ、簡単な操作で、HER2/Chr17比を瞬時に算出し、画像付き報告書を作成することが出来る。

ベンタナSISH法は機器による検査の標準化が可能で、画像解析装置を使用することにより、常に、客観的なデータを出すことが出来ることは精度管理上重要である。また、検査員、病理医の負担が軽くなると考えられる。


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