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法改正の経緯・作業環境管理について

上福元 清隆(興研株式会社)


 現在、化学物質の取り扱いに起因する職業性疾病は、顕在化しているもので年間300件と横ばいが続いている。また、近年発がん性物質として取り沙汰された石綿による肺がん及び中皮種の労災認定件数は、平成18年度には約1,800件と増加している。
厚生労働省では、化学物質の取り扱いに起因する職業性疾病を低減する目的で、平成18年度に労働安全衛生規則を改正し、指定する有害化学物質を一定量以上使用する事業場に対して「有害物ばく露作業報告書」の提出を義務付けた。対象物質は発がん性があると認められている、或いは疑いのある物質であり、初年度の18年度は5物質が対象となり、その内の3物質が規制強化された。その中に今回発表のテーマでもあるホルムアルデヒドが含まれている。
その後も有害物ばく露作業報告書の義務は継続されており平成20年度において44物質が対象になっている。
ホルムアルデヒドの規制強化は、特定化学物質障害予防規則において、今まで製造工場等における大量漏洩による健康障害を防止することを目的とした第3類物質であったが、少量のばく露においても健康障害を来たす(とくに発がん性を危惧した)特定第2類物質に変更されたことに基づくものである。規制の主だった内容は、作業環境管理として重要な事項である「作業環境測定の実施等」、及び「発散の抑制措置」がある。
作業環境測定の指標値である管理濃度は、日本産業衛生学会が制定している許容濃度を参考として決めるが、WHOの発がん性がある旨の発表、諸外国の動向を踏まえて許容濃度が0.1ppmとなり、引き続き昨年の12月に管理濃度が同数値に決定された。
この発表においては、以下に記す内容について説明する。
・法改正の経緯
・改正された特定化学物質障害予防規則の概要紹介
・作業環境管理について
・作業環境測定(実施、結果の評価、結果の措置、記録の保存)
・労働衛生工学的対策(主に換気対策について説明)


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