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ヴァーチャルスライド活用に関する提言

鶴久 季浩(正晃株式会社)


【序言】パソコンの高性能化に伴い病理画像(マクロ、ミクロ等)をデジタル処理及び表示するハードウェア環境がここ数年~十年で劇的に変化してきた。当初様々な課題はあったが、現在では35mmポジフィルムに代わってMicrosoft社製PowerPointによる画像投影での発表が主流となっている。また、テレパソロジー(遠隔術中迅速診断)に関する研究・開発も継続して進められており、インフラの高速化も手伝いリアルタイムでの表示ができるようになってきている。

それに伴い「ヴァーチャルスライド」に関する話題も数多く見受けられるようになった【ヴァーチャルスライド】を仮に定義すると「標本上の画像情報をデジタル化し、その画像(等倍では数メートル四方にも及ぶ場合もある)の観察したい箇所を任意にモニタ上に表示できるもの」となり、その種類は大きく二種類に区別できる。

一つは、標本上の画像情報全てを漏らすことなくデジタルデータ化する「完全なヴァーチャルスライド」。この技術により将来的にはスライドガラス自体の保管が不要となる可能性も考えられる。しかし、完全なデジタル画像を作製するには高額な専用装置を必要とし、表示のためには専用のビューワソフトが必要で保管に際して大容量記憶装置を必要とするデメリットも考えられる。

一方、カンファランス、コンサルテーション、プレゼンテーションを主目的とした「簡易的なヴァーチャルスライド」という考え方もある。デジタル化した箇所の画像データを閲覧し易いように構成する方法で、データ容量を大幅に軽減できるもののその作製には画像データを作製する当人の主観が反映される可能性が残り厳密な意味では任意の観察を保証するものではない。

【発表趣旨】この度、弊社では専門的知識を必要とせず市販プレゼンテーションソフトと同等程度の作成作業で簡易的なヴァーチャルスライドの作製が可能なソフトウェアとその画像を表示する「ビューワアプレット」を開発した。機能概要の紹介と、それらを実際にどのように活用されているかを報告する。


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