HOME > 例会抄録 > 第74回病理技術研究会 > 病理検体一元管理に関する提案
岩渕 馨（株式会社 AIバイオチップス 研究開発部）
１．バーコード管理
バーコードによる管理システムは現在あらゆる分野において当然の如く活用されており医療の分野においても血液検査等においてはすでに実施されております。
しかしながら病理細胞診においては包埋過程で有機溶媒を使用したり、熱を加えるため、インクやラベルでは消えたり、ラベルが剥がれたりといった恐れがあること。薄切時に検体が最終的にスライドガラスに移動してしまうこと。もう一つは染色時にスライドガラスが染色液、有機溶媒にさらされるなど様々な要因により実現が困難と考えられてきました。
本システムではレーザー加工による消えないバーコードを用いることによって上記の問題を克服し、病理業務の一元管理を実現することに成功した。
２．臨床からの検体紐付けの可能性とその実現に向けて
本システムは病理容器、スライドガラス、包埋カセット、この3つのアイテム全てを事前発番したバーコードにより業務の流れの中で順次 関連付けを行う事のできるシステムとなっています。
最初のバーコードによる紐付け現場を臨床の場に設けることにより検体採取の現場から病理受付へ、切り出しから包埋へ、薄切から病理診断書の作成へ全ての工程に機械によるチェックを行い、リスクマネージメントに対応できるシステムとなっています。
３．病理報告書から検体問い合せについての一元的管理の実現
本システムは検体に関する全ての情報、すなわち臨床シェーマ、マクロ写真、切り出し図、ミクロ写真などをサーバー上に蓄積していく形態をとっているため、報告書の作成・提出も同様に一元的に管理することを可能にしている。
また、臨床からの検体問い合わせについても即座の対応が可能なシステムとなっている。また、細胞診施設認定制度ガイドラインに則った精度管理、そして容易に様々な集計・統計を実現することが可能となっている。
