■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第74回病理技術研究会 > 病理診断迅速化の実践

病理診断迅速化の実践

金子伸行(東京大学医学部附属病院病理部)


東京大学医学部附属病院では2003年10月からマイルストーン社製RHS導入し迅速病理組織作製システムの運用を開始,現在はサクラファインテックジャパン社製Xpressを主軸としたシステムに変更し運用している.

運用当初は,切り出しの開始時間を午前中に変更し,システム担当者を配置するに留め,診断体制の変更等は行わなかった.そのため,当日診断されたのは全検体数の3%程度に留まった.しかしながら,全検体の診断日数は約2日短縮することができた.

更にTAT受付から結果報告までの所要時間:Turn around Time)を短縮するため,特殊染色と免疫染色の作業内容・開始時間の変更を行い,従来17時前後に提出されていた標本を15時までに提出する事とした.

これに伴い当システムで作製された検体に対して,当日診断を行うよう診断体制の見直しを行った.

今では生検検体だけでなくESD(内視鏡的粘膜下層切開剥離術)検体や手術検体の一部の処理も行っている.

2006年1月に当システムで処理された検体の割合は,全検体件数の約70%,ブロック作製数においても35%程度を占めるに至っている.

仕事量が分散化され自動染色機等の周辺機器の連続的・効率的な利用が可能となるばかりでなく,短時間に大量の検体を処理する必要がなくなり精神的なストレスも軽減された.

2006年1月~4月の平均TATは0日(当日診断)は約5%,1日は約20%であった.現在,7割以上の検体が12時以降に提出されるため,現行システムではその多くの検体処理が翌日になってしまい当日診断の割合が増えない大きな要因となっている.

今後は病理内部のワークフローの改善だけでなく,検体搬送を含め施設全体のワークフローの変更が必要であると考えている


例会抄録一覧へ戻る