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病理検査士制度に対する(社)日本病理学会の立場

坂本穆彦(杏林大学医学部病理学講座)


日本病理学会では、2004年度からアドホック小委員会として「病理検査技師との関係に関する小委員会」を発足させ、いわゆる病理検査士制度についての検討を開始した。1年間の検討をへて、現状の問題点を把握し今後いかに対応すべきかの提言を行う予定である。

この制度の導入を目指す日本臨床衛生検査技師会との会合をもつと同時に、平行して会員の声をくみあげる作業もすすめつつある。また、委員を米国に派遣しPA制度の実際についての視察も行う。その他、米国のPA制度とは異なるかたちでの技術者認定を行っている英国での資料もとりよせて検討している。

このアドホック小委員会が答申を出す前の段階では、日本病理学会の具体的な方針の表明はできないが、検討内容と議論の方向性についてのべ、諸賢の御意見をいただいて、検討内容をさらに煮つめる一助にしたいと願っている。

議論の前提として“病理診断は医行為である”とする厚生省の見解(平成元年)を認めることを共通認識としたい。この見解によれば、病名をつけることは医師のみに許されている行為とされている。もしも、病理専門技師に業務拡大がはかられたとしても、病理診断そのものは含まれないことになる。

現時点では、導入による利点・欠点を多面的に論じる必要がある。技師の業務拡大が病理医や一般の検査技師の雇用の縮少をまねくおそれもある。いずれにしても、この制度を導入するか否かもふくめての検討を精力的にかさねているところである。


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