■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第71回病理技術研究会 > 組織処理条件の検討

組織処理条件の検討
― 固定、脱水・脱脂・パラフィン浸透における処理条件、
及び、処理液持込み量の実態と適切な薬液交換・薬液落第方法の検討 ―

北條昭次(サクラファインテックジャパン株式会社)


【はじめに】組織の固定、脱水・脱脂・パラフィン浸透の処理条件検討については、昭和48年(1973年)7月に国立東京第一病院講堂で開催された第1回組織技術研究会からの一貫した組織標本作製上の基本的テーマの一つであった。

病理標本作製過程に於いて、固定、脱水・脱脂・パラフィン浸透処理は最も基盤となる地味な操作であるが、それ以後の標本の出来具合を決定づける最も重要な行程である。この第1回組織技術研究会以前より、当時の東京女子医科大学第1病理学教室の武石先生、吉村技師らにより鋭意、組織処理条件の検討がなされ、それまで不明であったいろいろな各処理条件の疑問が明白になってきた。

その後、当研究室でもこの組織処理条件についていろいろな角度から、特に化学的、生物的、物理的観点からメスを入れて検討を行い、当研究会の第5回、第11回、第18回、第24回、第27回、第34回において実験結果を紹介してきた。

これら一連の研究は1970年以来今日まで30数年に亘るため、多くの方々にとっては、その全体像を理解し難いものと思われる。 更に、この成果の一応のまとめが編集に組み込まれた日本病理学会編集「病理技術マニュアル3 病理標本作製技術 上巻 切り出しから薄切まで」(1981年 医歯薬出版株式会社発行)も、発行後既に23年が経過し、絶版となって久しく、これから手に入れようとしても叶わないのが実情である。

一方、昨今では過去に比べて検体数が増えているのみならず、殆どの施設が組織処理過程でカセット類を使用する様になっている。

このため、処理液の消耗(ヘバリ)も過去と比べて激しくなってきているのが現状である。

【検討内容】これら一連の研究成果を総括し、組織処理上のポイントとなる要点を判りやすくまとめると共に、現状の脱水・脱脂・パラフィン浸透過程での処理液持込み量を測定し、薬液交換・薬液落第の対応方法の検討を行うこととした。


例会抄録一覧へ戻る