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包埋時コンタミネーション防止の検討とピンセットクリーナーの使用報告について

相沢久美子 小沢英樹 高橋俊介 上野 喜三郎
(PCL病理細胞診センター)


【目的】病理組織標本作製工程におけるコンタミネーションは病理診断する上で精度上大きな影響を与える。その中で特に包埋におけるコンタミネーションの防止について当施設において独自に開発したピンセットクリーナーの検討を行ったので報告する。

【方法】包埋で想定されるコンタミネーションの原因として包埋センターのピンセット差込口の中に組織が混入することにより起こるコンタミネーション、直接ピンセットに付着した組織によるコンタミネーション、パラフィンバスのパラフィンの汚れ、及び包埋皿の洗浄不十分等があげられる。今までの対策としては差込口やピンセットに組織が付着して起こるコンタミネーションはペーパーでのふき取り、パラフィンバスの汚れはパラフィン交換、包埋皿の洗浄不充分は洗浄用バスの交換等に加えピンセットは何本か使いまわしているがいずれも撲滅には至っていなかった。そこで通常の包埋センターではピンセット差込口の穴の底が閉じているため、穴に入った組織がピンセットに付着することが考えられる。ピンセットを高温に保ちつつピンセットより吸着の良い金メッシュにより付着した組織を取り省く必要があり、かつ使用後洗浄可能なピンセットクリーナー開発した。試験1.使用したピンセットクリーナーに新しいピンセットを挿し再度組織が付着することはないかピンセットから集細胞法により組織の有無の確認を行った。試験2.メッシュに付着した組織はパラフィンによってメッシュから落下することはないかピンセットクリーナー内にパラフィンを流し込み同様の確認を行った。

【結果】試験1,2共にコンタミネーションとなる組織は見られず、組織の砕片化も認められなかった。このような検討結果から金メッシュを用いる事が現状では有効な手段と考えられる。

【考察】パラフィンの融点、組織への影響を考え現在は金メッシュを70℃で使用しているが、今後温度についても検討したい。現在1ヶ月で交換している金メッシュの耐久性についても検討したい。


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