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病理・細胞診検査室の環境改善対策
―特にキシレンの代替品Clear-Plasの有用性について―

森川政夫(大阪医科大学付属病院)


 病理・細胞診検査室において、キシレンは標本作製過程において不可欠な有機溶剤である。しかしながらこれらの有機溶剤を長期間吸引・暴露することは重篤な健康障害を引き起こすことが報告されている。このように有害な有機溶剤を大量に取り扱う病理・細胞診検査室ではその安全対策が急務となっている。そこでキシレンについてその現状と対策さらに代替品Clear-Plasについて検討を行ったので報告する。

(キシレン代替品の検討方法)キシレンの代替品として、FALMA社より発売されているClear Plusを用いた。類似品のHemo-Clearについても一部検討に用いた。
検討内容は、
1)パラフィン包埋時の中間剤として、
2)脱パラフィン剤として、
3)H・E染色時における中間剤としてのなじみ、
4)中間剤と封入剤とのなじみなどについて従来のキシレンと
比較し検討した。

(結果)特にパラフィン浸透の弱い脂肪組織を用いたが、組織の収縮は少なく、キシレンと同様に薄切も容易で、染色性に差はみられず、診断に支障をきたすような標本はなかった。しかしながら従来の封入剤は、封入時になじみが悪く、特定の封入剤の使用が必要であった。さらに代替品Clear Plusは劇物の指定が無く、ガス許容量もキシレンに比べ高く、環境改善対策物質として有用であった。


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