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デジタルカメラの基礎

川 口 順 三
(カール ツァイス・マイクロスコープ・ディビジョン)


かって、「デジタルカメラの画質は、銀塩フィルムを超えられるか?」と、いう話題が盛んに取り上げられていました。しかし、ここ数年、顕微鏡写真の撮影もデジタルカメラが用いられることが多くなってきました。実際、フィルム撮影装置の販売は非常に少なく、かわりに、顕微鏡と共に殆どデジタルカメラが購入されているのが現状です。銀塩フィルムに比較して、デジタルカメラでは、特に、撮影した画像が直ぐ観察でき、取り直しが手軽できる速効性や、コントラスト・明るさ・ホワイトバランスなどを、観察者が手軽に調整できる加工性などが特徴として上げられます。
デジタルカメラは、光を光電効果という物理現象を利用して、電気信号に変換した後、ADコンバータを介してデジタル画像としてPCに記録します。それを、モニタで観察することが基本で、印刷にはプリンタを使用することになります。従って、観察像は、単にカメラ本体だけでは無く、途中を介する様々な電子機器やソフトウエアのトータルでの性能に依存します。
デジタルカメラで先ず問題とされる画素数とは、画像の解像度で、1画面を幾つの点(画素/ピクセル)で表現できるかということです。顕微鏡画像の場合は、コストパフォーマンスの状況から、縦横約1000個の点から構成される100万画素クラスと呼ばれるものが主流ですが、1000万画素クラスもあります。また、ダイナミックレンジ(濃度諧調)も大切な要素で、中間色を如何に正確に表現できるかということに関わります。12ビット(4,096階調)が多いですが、16ビット(65,535階調)もあります。特に、微弱な蛍光像をキャッチするために、冷却CCDと呼ばれるタイプもあります。目的に応じて、カメラとその性能を最大限に発揮できる関連機器とのコンビネーションの選択が重要と考えられます。


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