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病理標本作製工程におけるシステム化

安里 嗣則(BML病理細胞診センター)


当施設は病理・細胞診検査を主業務とする検査センターで、病理検査においては年間約28万件の検体を受託しています。病理検査は他の検査に比べシステム化が遅れ、人手による作業が多い分、多数の検体を取り扱う場合人為的ミスが発生する可能性が高くなってきます。その防止策として切出・包埋・薄切・染色・標本チェックにバーコードを利用した標本作製工程のシステム化を導入しましたので紹介致します。従来は依頼書・容器に貼付られたバーコードで検体照合管理をしてきましたが、更に検体から作製されるブロック・スライドもシステム化しなければ人為的ミスは防止出来ません。そこで、切出では前もって自動貼付装置により貼付されたバーコード付きカセットを使用し、切出処理時に受付番号との紐付けを行います。薄切ではブロックに貼付られたバーコードを読込ませて、薄切者横にあるパソコン画面に表示された薄切情報を基に薄切を行い、バーコードの貼付けられた水槽とブロックとの紐付けの操作を行ないます。切片の入った水槽はベルトコンベアライン末端の薄切補助者の所まで移動し、水槽のバーコードを認識すると自動スライド印字装置でラベル印字されたスライドが発行される仕組みになっています。自動スライド印字装置の導入でスライドへの番号転記ミス(手書き)や染色後のラベルの貼り間違い(手貼り)もなくなり、人為的ミスが防止出来たと考えます。 また、薄切後のブロックの管理も従来は番号順に並べ替えて収納していましたが、収納する箱(50個入)にバーコードを貼付し番地をつける事でランダムに収納し作業の効率化を図りました。今回の標本作製工程でのシステム化は人為的ミスの防止に加え、検体の各工程での処理状況の把握ができ、進捗スケジュールを設定する事で、依頼検体の納期管理もできるようになっています。システム化を導入して数ヶ月、まだまだ改良の余地はありますが、本来の目的は達成されており順調に稼動しています。


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