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コンペ1
どれだけ多くの免疫グロブリン陽性細胞を染めることができるか

小島 勝
獨協医科大学病理学教室


パラフィン切片で免疫組織化学的に腫瘍細胞のB細胞性格を証明するにはL26(CD20)が現在では用いられることが多く、細胞質内に免疫グロブリンを持たない大細胞型B細胞リンパ腫の診断に大変有効である。しかしL26は腫瘍細胞が形質細胞への分化傾向の顕著は症例では陰性になることもある。形質細胞への分化が顕著な症例では腫瘍細胞が小型で異型性が乏しいことも多い。抗ヒト免疫グロブリン軽鎖抗体(Kappa/Lambda)による免疫染色で増殖している細胞の単クローン性格かを証明することはB細胞性腫瘍と反応性病変の鑑別には重要な手段のひとつであると思われる。免疫グロブリン形質細胞への分化が顕著な腫瘍としては多発性骨髄腫、いわゆる粘膜関連装置由来(MALT)型リンパ腫を主とする濾胞辺縁帯Bリンパ腫(最近では髄外性形質細胞腫は濾胞辺縁帯リンパ腫が極端に形質細胞へ分化を示した病変と考えられている)は比較的遭遇する頻度が高い、これらと鑑別を要する著名な形質細胞浸潤を伴う反応性病変として慢性関節リウマチを中心とする自己免疫疾患に伴うリンパ節病変、唾液腺の myoepithelial sialoadentis
Castlman 症などがあげられる。今回、免疫グロブリンを染色していただいた検体は多発性 Castleman 症とよばれるリンパ節の境界領域病変のひとつである。ここでは配布した標本の染色結果について報告し、各施設の工夫についても伺ってみたい。さらに形質細胞の浸潤の著名な腫瘍性、境界領域、反応性のリンパ増殖疾患の臨床病理所見を解説する。免疫グロブリンの染色は日常業務に用いられ始めて20年以上が経過したがMALT型リンパ腫の診断には免疫グロブリン遺伝子の再構成を証明する分子生物学的な手法に比べても決して遜色がないという報告もある。まだまだこの方法は省みられて良いのではないかということを強調したい。

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