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界面活性剤(BRIJ35)添加抗原賦活化液の検討
-免疫グロブリン検索を中心に-

公立昭和病院病理科
濱川真治 近藤陽介 田辺美絵 森島理恵
柏崎好美 森 一麿 三浦千砂子 清水誠一郎


ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いる酵素抗体法において、免疫グロブリンの検索には蛋白分解酵素による前処理が必須である。しかし、いわゆるbackground staining が高く、全体に汚い染色像になりやすい。
また染色結果の安定性に欠けるため、糸球体腎炎における免疫複合体の証明には未だ蛍光抗体法が、形質細胞増殖性疾患における細胞のモノクロナリティ検索には患者血清を用いた免疫・生化学的手法が主流である。われわれはホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いる免疫グロブリン検索の安定化、特にbackground staining の除去を目的として、ホルマリン固定前リン酸緩衝液洗浄法(以下洗浄法)を考案し、本研究会において2回にわたり報告した。以来ほぼ安定した染色結果を得ているが、洗浄法を用いない通常のホルマリン固定パラフィン包埋を経た後に、免疫グロブリンの局在検索の必要性を生ずる症例もある。また洗浄法を施行した場合でも洗浄不足が一要因と思われる陽性像の不明瞭化や、腎生検材料の特に膜性腎症症例においてgranular pattern 陽性像が得られにくいことがあった。
今回われわれは、蛋白分解酵素処理に替えて、抗原賦活化液H(中性ダイアトロン)に非イオン性界面活性剤BRIJ35(SIGMA)を0.0003%の割合で添加、オートクレーブ(庫内温度121℃12分間)加熱処理したところ、一部の症例で上記の問題点を解決できたので、本方法の有用性と共に問題点についても報告する。


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