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滋賀医科大学医学部附属病院における病理診断・細胞診断の既読管理の現状

林 裕司

滋賀医科大学医学部附属病院 病理部


【はじめに】病理診断の見落としを原因とする医療事故は、以前から問題とされており、各施設それぞれの対策を講じてきたものと考える。2022年度より診療報酬が改定され「報告書管理体制加算」が新設された。診療報酬は退院時1回7点と高くはないが、それなりに労力のかかっている既読管理業務に対して加算が付いたことは業務を遂行する上でもプラスと考えられる。しかし、今回新設された加算を取るためには、いくつかのハードルがあり、当院は現状加算を取れておらず、その準備を進めている段階である。
【当院の現状】当院では、以前から日本医療機能評価機構の病院機能評価を取得しており2021年からはISO15189も取得している。これらの認定には、病理診断書の既読管理が求められていることから、病理部において病理検査システムを用いてその管理を行ってきた。
既読管理手順としては、病理検査システムにおいて、依頼医の「組織診断報告書」および「細胞診断報告書」結果確認が、約1.5か月以上未読の症例に関して、1か月に2回(毎月1日、15日)、未読情報を各診療科長宛に紙面で知らせる。知らせる際に使用する未読症例一覧には対応日、対応者を記入する欄が設けてあり、各診療科より返却された確認済の未読症例一覧は「報告確認遅延一覧綴り」として、3年間保存することとしている。
【今後の展望】現状は病理部独自に既読管理を実施しているが、当院の医療安全管理部が主体となり、報告書管理体制加算取得に向けて、病理・細胞診断の既読管理を放射線科の画像診断報告書と合わせて管理すること。また、管理体制加算の算定要件である報告書確認対策チームの設置や、報告書確認の実施状況の評価に係るカンファレンスの開催等の準備を進めている段階である。


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