HOME > 例会抄録 > 第108回日本病理組織技術学会 > 病理細胞診検査における医療安全への取り組み~画像撮影の活用~
今川奈央子,塚本龍子
神戸大学医学部附属病院 病理部
医療安全とは医療事故や紛争を起こさないための方策とともに,医療事故や紛争が起きた場合の対応策に取り組むことをいい,医療法第6条の12は「病院等の管理者は,医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。」と定めている。
当院では,医療安全措置の一つとして,2014年から画像撮影を活用した対策を開始した。画像撮影は手作業が多い病理組織・細胞診標本作製において,状況を正しく記録できるため客観的証拠として非常に有用なツールである。撮影した画像は,問題発生時だけでなく,日常業務におけるリスク管理や研修,教育にも活用することがでる。さらに撮影することで作業者の動作に対する意識が高まり,事故防止効果に繋がる。
現在,画像記録している作業は,検体受付・生検処理・包埋・細胞診検体処理・免疫染色である。検体受付では監視カメラによる動画,生検処理ではiPadによる動画と静止画,包埋ではWebカメラによる動画,細胞診検体処理ではGoProによる動画,免疫染色では染色装置の画面を撮影しており,生検処理の静止画は作業終了後に確認し,それ以外の画像は問題発生時に確認している。
今回,画像撮影の導入から現在までに行った撮影方法への工夫や改善,実際に画像記録が有効であった事例やその他の活用等について紹介する。