■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第100回日本病理組織技術学会 > 日本臨床衛生検査技師会から

日本臨床衛生検査技師会から

滝野 寿

一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 専務理事


 一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(日臨技)は、昭和27年に日本衛生検査技術者会として設立した臨床検査技師の職能団体で、会員は全国で65,000人を誇っている。登録施設は約8000施設である。会員は医療機関をはじめ、登録衛生検査所、教育機関、企業、行政機関等と多方面にわたる。公益継続事業として外部精度管理調査事業の実施ならびに品質保証施設認証制度をもち、更新制のない国家資格である臨床検査技師の生涯学習を、eラーニングや集合研修、さらには認定技師制度で担っている。
 平成26年よりは、一般社団法人日本病理学会と共同して日臨技認定センターの下に「認定病理検査技師制度」を発足した。認定病理検査技師は病理医との連携の中で、標準化された精度の高い技術を修得・維持することによって、病理部門が国民に対して「最終診断」としての責務を十分に果たしていくことを第一の目標に掲げている。平成30年度には920名が全国の病理現場で活躍をしている。平成29年10月に閣議決定された「がん対策推進基本計画(第3期)」においては、認定病理検査技師の適正配置についても言及された。さらに本年6月より始まったがんゲノム医療の遺伝子検査システムに供される検査試料のほとんどは病理組織検体(ホルマリン固定パラフィン包埋標本:FFPE)であり、それらを中心で取扱っている病理技師についても、その精度品質を担う実務担当者としての責任を果たしていかなくてはならない。既にほとんどのがんゲノム中核拠点・連携病院には認定病理検査技師が配備されており、この分野においても重要な役割を担うようになった。この他にも病理学会との共同作業としては、「ゲノム病理標準化講習会」、「特定非営利団体日本病理精度保証機構」への協力、「病理検体取扱いマニュアル―病理検体取り違えを防ぐためにー」等の指針作成に関しての協力関係性は深まっている。
 日臨技としては、これら病理学会との良好な関係性を基盤とし、さらに病理診断・検査が国民医療の安全を支えるべき使命を果たしうるよう、日本病理学会と共に行動を起こしていく。また細胞診・分子病理分野における、画像解析・遺伝子診断におけるデータ解析、デジタル画像の管理等々、AI、IoT技術を駆使したような働き方自体も変化させていかなくてはならない。当面は、進歩著しいこれら分野の新しい技術・知識を身に着けて、現臨床現場に積極的に活用・応用し、過去の経験にフィードバックを重ね、その科学的根拠(エビデンス)を臨床応用できるようにしていく事にもっと貢献していかなくてはならないと考える。


例会抄録一覧へ戻る