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ゲノム医療時代における病理技師への期待―日本臨床検査同学院から―

宮地勇人

東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学


 近年、高度医療の推進において、医療の質の確保の重要性はますます高まっている。革新的な技術の実用化として、遺伝子関連検査に基づくゲノム医療や第4次産業革命(人工知能AI、モノのインターネットIoT、ビッグデータ)による統合型産業に基づく検査サービスなどが急速に展開している。「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」、「検体検査の精度管理等に関する検討会」などでの議論を踏まえて、検体検査の精度の確保に係る医療法等の一部改正(改正法)とそれに伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(改正省令)が2018年12月1日に施行された。ここでは、検体検査の分類の見直しの議論に基づき、1次分類に遺伝子関連・染色体検査が新設された。さらに、医療機関自ら実施する検体検査の精度の確保の方法に係る基準と規制がはじめて定められた。本法律の施行にあたり、検体検査の品質・精度の確保について、特に遺伝子関連・染色体検査に関して「遺伝子関連検査に関する日本版ベストプラクティスガイドライン」(日本臨床検査標準協議会)の要求水準にしたがい、国際水準を目指した検査施設の第三者認定、外部精度評価など環境・体制整備が進むと予想される。そこでは、遺伝子関連検査に精通した病理技師の役割が一層重要となる。日本臨床検査同学院では、各分野における十分な知識と技術能力を問う試験事業の一環として、臨床検査士資格認定制度における病理学二級・一級資格に加えて、遺伝子分析科学認定士制度を設置し、遺伝子関連・染色体検査における専門的人材の育成を行っている。後者による資格試験は、近年、がんゲノム医療推進の体制整備を反映して、病理技師の受験者数が急増している。本講演では、検体検査の精度の確保に係る法改正・省令改正の施行にあたり、その趣旨および取り巻く環境を踏まえて、ゲノム医療時代における病理技師の役割と期待を整理し、今後を展望する。


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