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日本病理精度保証機構の現状と今後 

白石泰三

日本病理精度保証機構 理事長


 特定非営利活動法人日本病理精度保証機構(JPQAS)は日本病理学会および日本臨床衛生検査技師会が中心となり、2014年に設立されました。後述のように、具体的な活動内容として免疫染色の外部精度管理が主体であることもあり、関連学会として日本乳癌学会、日本胃癌学会、日本肺癌学会、日本リンパ網内系学会からも役員の派遣を受け入れております。
 本機構は病理に係る業務の精度管理・評価を行い、病理医・検査技師、病理検査室・衛生検査所や一般住民・患者団体に対して教育研修および評価認定事業、啓発事業を全国規模で行うと共に、本邦内外における精度の高い病理診断の普及に寄与することを目的としております。
 具体的な外部精度評価事業としては染色サーベイとフォトサーベイを実施しております。前者は未染色標本を参加施設に配付し、各施設で免疫染色を行い、標本と染色結果を機構に返送します。機構側では、評価委員会を設置し、免疫染色が適切に行われたか評価し、さらに免疫染色結果の解釈が妥当か検証します。フォトサーベイは、機構側で免疫染色を行い、それをバーチャルスライド化し、機構のサーバーにアップロードします。各施設参加者は、このバーチャルスライドを観察し、染色結果を判定します。そして年度末にはこれらのサーベィの報告を兼ねた技術講演会を開催しております。参加施設数は2014年が102施設だったのですが、外部精度管理の重要性が認識されてきたのか、今年は338施設にまで増加しております。
 今後の取り組むべき課題としては、細胞診断(標本作製、および細胞診断)、分子病理学分野、病理診断自体の精度保証、あるいは人工知能(AI)診断、などがあります。まだまだ、方法論が確立してない分野でもあり、関係学会と協力しどのように進めていくか研究中であります。また、諸外国の同様な団体とのネットワーク構築も進めていく予定でおります。


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