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クロム酸アンモニア銀法とケルンエヒトロート液作製法発表のその後

當銘良也

つくば国際大学医療保健学部


 第35回病理技術研究会(1987年)ではアンモニア銀液を用いた再現性よい真菌染色法―クロム酸アンモニア銀法―を、第63回(2001年)ではケルンエヒトロート液作製法の検討を発表いたしました。今回はこれら2つの発表を振り返って、発案の経緯と染色法のコツ、またその後の検討結果を報告する。
 アンモニア銀液とアルデヒド基が反応して銀が還元されて銀粒子が生じるトレンス反応を利用したものである。考案当初はchromic acid tollens(CAT)染色と呼んでいたが、病理技術研究会での発表を契機に、病理技術者になじみが深くなるようにクロム酸アンモニア銀法に変更した。本法は銀液での至適反応時間が長く、また反応しすぎた場合塩化金で染色の強さを調整できる利点がある。HE染色などと容易に重染色ができるので、その応用などについて紹介する。
 ケルンエヒトロート液の作製法の検討を始めたきっかけは、染色液がすぐに沈殿してしまい染色性が悪くなることと、原法では溶解時に煮沸しなければならず、なんとかもっと楽な方法で作製でき、かつ染色液の耐久性を高めらえないかと考えたのがきっかけです。
 3年にも及ぶ実験の結果、時間と手間をかけた割には、20%の割合にグリセリンを加えただけの簡素な改良と言う点で落ち着きました。なぜ原法では沈殿が生じやすいのか、改良法では生じ難いのか今回、新たに追加の実験を行ったので合わせて考察する。


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