宇宙航空環境医学 Vol. 60, No. 1, 31, 2023
一般演題 2
6. 高温超電導物質を用いた電磁気シールドの構築に関する一考察
泉 龍太郎
日本大学
A concept for electro-magnetic shield based on high-temperature super-conductivity
Ryutaro Izumi
Nihon University
有人を含め,宇宙滞在において宇宙放射線対策は大きな課題である。その対策の一つとして,電磁気によるシールドが挙げられているが,現状では構想段階に止まっている。高温(常温)常圧の超電導物質は今世紀内には実現するという見通しも出されている1)が,これが現実化すれば,低電力で大きな電磁場を発生することが可能となり,リニアモーターを初めとして,様々な分野での応用が期待されている。その一つとして,放射線防護対策としての,電磁気シールドも考えられる。超電導物質の大きさにも依ると考えられるが,ローバーや,場合により,宇宙服1体分でのシールドの構築も可能かも知れない。その一方で,電磁場からの人体や機器類への影響は,十分に考慮しておかなければならない。日本では,東北大学の長崎陽が,2019年〜2021年度の間,科研費を基に,宇宙機用磁気シールドシステム構築を目的とした研究活動を行っている2)。本発表では,高温(常温)超電導物質による電磁気シールド構築の可能性と,今後の検討課題について報告した。
参考文献
1) |
ミチオ・カク 斉藤隆央(訳) 「2100年の科学ライフ」 NHK出版 2012年 (原) Michio Kaku ‘Physics of the Future:How Science Will Shape Human Destiny and Our Daily Lives by the Year 2100’ Anchor 2012 |
2) |
科学研究費助成事業データベース https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K15204/(2022年12月10日参照) |