宇宙航空環境医学 Vol. 59, No. 1, 24, 2022

一般演題 1

3. Space Camp at Biosphere 2

堀山 勝輝1,清水 里香2,大上 耕平3,東 亜 希哉4,高畑 花帆5,田島 知之6,寺田 昌弘6,山敷 庸亮7,土井 隆雄7

1京都大学 医学部
2京都大学 理学部
3京都大学 工学部
4産業医科大学 医学部
5近畿大学 医学部
6京都大学 宇宙総合学研究ユニット
7京都大学院 総合生存学館

Space Camp at Biosphere 2

Katsuki Horiyama1, Riko Shimizu2, Kohei Oue3, Akiya Higashi4, Kaho Takahata5, Tomoyuki Tajima6, Masahiro Terada6, Yosuke Yamashiki7, Takao Doi7

1Faculty of Medicine, Kyoto University
2Faculty of Science, Kyoto University
3Faculty of Engineering, Kyoto University
4School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
5Faculty of Medicine, Kindai University
6Kyoto University, Unit of Synergetic Studies for Space
7Graduate of School of Advanced Integrated Studies in Human Survivability, Kyoto University

【目的】 Space Camp at Biosphere 2 (以下,SCB2) は,火星や宇宙空間での長期にわたる次世代の有人宇宙開発を担う人材育成を目的としたフィールド実習である。
 【実習内容】 日本国内から5名,米国から5名の合計10名の学生が選抜を経て参加した。2018,19年は米国アリゾナ州にある人工隔離生態系“Biosphere 2”での実習を行った。2020年度は,日本国内でBiosphere 2内部のバイオームに相当する,海洋,森林,砂漠に関するオンライン実習と無線通信・放射線に関する実習を行った。それに加えて,各実習のまとめとして,日本側の学生からアリゾナの学生に向けてオンラインで発表,議論を行った。さらに最終課題として,火星基地Biosphere 3の設計を行った。
 【実習の評価】 実習を通した学習の効果は,各学生が実習前後に「コンセプトマップ」を作成することで,定量的に分析した。この結果から,実習前後でノードやリンク数の有意な増加は見られなかったが,さらに,多くの学生で実習後は集団生活に関するノードと医学に関するリンクが新たに追加された。
 【実習の成果・考察】 2020年度のSCB2では,実際にBiosphere 2への訪問が叶わなかったこと,オンライン上での日米学生のコミュニケーションが難しかったことが理由で,計画通りに進まないことが多かった。しかし,予測不能な事態に臨機応変に対応し,国内3か所のフィールド実習とオンライン国際交流を経て,火星基地設計という正解のない課題にチームで取り組むことができた。本実習で身に着けた経験と知識は,将来「宇宙」をフィールドとした様々な分野で国際的なキャリアを目指す学生たちにとって価値あるものであったと考えられる。