症例報告

ワルチン腫瘍内に進展した濾胞性リンパ腫の1例

横田　ゆか¹　　　大石　直輝¹　　　井上　朋大¹
望月　邦夫¹　　　丹澤雄一朗²　　　熊谷　拓磨³
櫻井　大樹²　　　桐戸　敬太³　　　近藤　哲夫¹

（¹山梨大学大学院総合研究部医学域人体病理学講座，²同　耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座，
³同　血液腫瘍内科学講座）

要旨: 濾胞性リンパ腫とワルチン腫瘍が併存した症例を経験したので報告する。症例は60代女性。多発リンパ節腫大を生じ，右頸部リンパ節に対する穿刺吸引細胞診でリンパ腫が推定された。精査目的に左耳介下部の腫瘤の生検が施行され，組織学的・免疫組織化学的所見から濾胞性リンパ腫と診断された。また，同病変と連続してワルチン腫瘍が存在し，ワルチン腫瘍の間質にも濾胞性リンパ腫が進展していた。ワルチン腫瘍は間質内にリンパ腫を合併することが稀にあり，特に中高年の症例では診断の際，注意が必要である。

キーワード:subauricular region, Warthin tumor, follicular lymphoma, histology

Follicular lymphoma involving Warthin tumor:a case report

Yuka Yokota¹, Naoki Oishi¹, Tomohiro Inoue¹, Kunio Mochizuki¹, Yuichiro Tanzawa², Takuma Kumagai³, Daiju Sakurai², Keita Kirito³, and Tetsuo Kondo¹

Departments of ¹Pathology, ²Otorhinolaryngology and Head & Neck Surgery, and ³Hematology & Oncology, University of Yamanashi

（論文受付:2024年5月24日）

（採用決定:2024年7月 9日）