原　　著

子宮体部中腎様腺癌5例の臨床病理学的検討

岡崎　菜紗^1,2　　　川上　　史¹　　　安里　嗣晴²
三上　芳喜¹

（¹熊本大学病院病理診断科，²熊本赤十字病院病理診断科）

要旨:WHO分類第5版および子宮体癌取扱い規約病理編第5版で新たに採用された内膜癌である中腎様腺癌5例を検討した。全例が筋層外側1/2に及び，4例が内向型の発育様式を示した。免疫組織化学的にはER陰性，GATA3陽性，TTF-1陽性で，1例ではGATA3とTTF-1の相互排他的な染色性が認められた。1例はthyroglobulin陽性を示した。転帰が判明している4例全例で肺転移がみられた。1例は体部腫瘍が類内膜癌で，肺転移巣が中腎様腺癌の形態および表現型を示している点で特異であった。

キーワード:Endometrial neoplasms ; Mesonephric-like adenocarcinoma ; GATA3 ; TTF-1, Thyroglobulin

Mesonephric-like Adenocarcinoma of the Uterine Corpus : Study of 5 Cases

Nasa Okazaki^1,2, Fumi Kawakami¹, Tsuguharu Asato², and Yoshiki Mikami¹

¹Department of Diagnostic Pathology, Kumamoto University Hospital
²Department of Diagnostic Pathology, Japanese Red Cross Kumamoto Hospital

（論文受付:2023年9月1日）

（採用決定:2024年2月16日）