症例報告

主膵管に浸潤したセロトニン産生性膵神経内分泌腫瘍の2症例

関本隆太郎¹　　　堀口慎一郎¹　　　内藤　　裕¹
櫻井奈津子¹　　　新井　秀雄¹　　　元井　　亨¹
仲程　　純²　　　脊山　泰治³　　　比島　恒和¹

（¹がん・感染症センター都立駒込病院　病理科，²同　消化器内科，³同　肝胆膵外科）

要旨: 浸潤性膵管癌との鑑別が問題となったセロトニン産生性膵神経内分泌腫瘍を2例経験したため報告する。いずれの症例も画像上膵管の拡張と起始部の腫瘤を指摘され，外科的切除が行われた。診断はセロトニン産生性膵神経内分泌腫瘍（Grade1）で，主膵管への浸潤を認めた。膵管拡張を呈する放射線画像と，主膵管近傍において線維化に富む浸潤性の発育を示す組織学的特徴から慢性膵炎や浸潤性膵管癌との鑑別が必要になり，EUS-FNAでの確定診断は困難なことも多い。稀な腫瘍であるが，これらの特徴を念頭に診断する必要がある。

キーワード:Pancreas, PanNET, serotonin-producing, Fibrosis, main pancreatic duct dilatation

Serotonin-producing neuroendocrine tumor of the pancreas invading main pancreatic duct:A report of two cases

Ryutaro Sekimoto¹, Shin-ichiro Horiguchi¹, Yu Naito¹, Natsuko Sakurai¹, Hideo Arai¹, Toru Motoi¹, Jun Nakahodo², Yasuji Seyama³, and Tsunekazu Hishima¹

Departments of ¹Pathology, ²Gastroenterology, and ³Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital

（論文受付:2023年2月28日）

（採用決定:2023年3月23日）