体細胞モザイク‐遺伝子変異細胞による組織再構築
【質問事項】1.“加齢に伴う遺伝子変異の蓄積ががん発症につながる” という内容に関連して、DNAメチル化をはじめとするエピジェネティックな変異についても、加齢によって同様に蓄積されていくのでしょうか。 また、こうしたエピジェネティックな変化(蓄積)を評価・測定する方法がございますか。
2.先生が行われた実験において、大腸粘膜を大変綺麗に取り出されており、驚きました。接着剤を使用したとのことでしたが、もう少し具体的に教えて頂けないでしょうか。
【回答】
1.正常組織におけるエピジェネティクスの異常は、まだ研究が十分進んでいない領域ですが、加齢とともにエピジェネティクス異常も蓄積すると考えられていると思います。環境因子による変化という観点から、例えばヘリコバクター・ピロリ菌による胃粘膜上皮のメチル化異常などは研究が進んでいる領域です。エピジェネティックな異常を獲得した細胞がクローン拡大し、組織が再構築されるか、という観点からは、ゲノムとエピゲノムの同時解析が必要であり、微小検体を用いたマルチオミックス解析を行うことで、評価することが可能になると考えます。また、一部のドライバー変異は、その獲得によってエピゲノムの状態が変化することも知られており、統合的な解析が必要な領域だと思います。
2.接着剤の成分であるヒストアクリルは、適度な水分の存在下で重合が進みます。生検した大腸粘膜を洗浄して粘液を除去した後、ガーゼなどを用いて適度に湿った状態にします。そこに接着剤を載せます。様々な接着剤を試しましたところ、液状よりはゼリー状のタイプの相性がよかったです。その後、上皮と間質との接着を解除するため、EDTA入りPBSを用いて陽イオンをキレートします。その際、粘膜下層にEDTA入りPBSを注射針で打ち込むと、失う陰窩が少なくなります。