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病理検査における廃棄物の取り扱い

塚本 龍子

神戸大学医学部附属病院 病理部


 廃棄物に関係する法令には、基本法令である廃棄物の処理及び清掃に関する法律、同法律施行令、同法施行規則等がある。これらの法において廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却できない不要物のことで、産業廃棄物と一般廃棄物に大別され、産業廃棄物は事業活動に伴って生じた廃棄物(20種)と輸入された廃棄物で、一般廃棄物はそれ以外のものと定義づけされている。さらに爆発性や毒性、感染性等があるものは特別管理産業廃棄物、特別管理一般廃棄物に区分されている。
 病理関連の施設である病院、衛生検査所等から医療行為に伴って排出される廃棄物は医療廃棄物と呼ばれ、感染性廃棄物・非感染性廃棄物・業務上一般廃棄物がある。感染性廃棄物は、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物で、該当するか否かの判断基準は形状、排出場所、感染症の種類の観点から客観的に行うことが基本とされている。手術等に伴って発生する臓器、組織等の病理廃棄物は、形状から感染性廃棄物となりホルマリン固定された臓器も含まれる。そのほか、細胞診材料等の血液、体液や、血液等が付着している鋭利なものは感染性廃棄物であり、付着していない手袋等、鋭利でないものは非感染性廃棄物となる。
 感染性廃棄物の処理は排出事業者責任として最終処分終了まで注意義務を負うことが明らかにされており、分別・保管・収集運搬・処分に基準が定められている。分別、保管については、容器の識別表示、密閉、保管場所の表示が求められ、施設外で処分する場合、収集・運搬および処分は特別管理産業廃棄物で感染性産業廃棄物の許可業者に委託する必要があり、処分終了の確認は産業廃棄物管理票(マニュフェスト)で行うこととされている。
 病理検査における廃棄物の取り扱いについては、これら廃棄物に関する法令等を十分理解し、適切な措置を講じることが重要である。


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