HOME > 最新例会抄録 > 腎臓の特殊染色と染色法のポイント
阿部 仁
新渡戸文化短期大学 臨床検査学科
腎生検で採取された組織は,光学顕微鏡的検索,蛍光抗体法や免疫組織化学的検索,電子顕微鏡的検索が行われる.光学顕微鏡的染色は,HE染色,PAS染色,PAM染色,マッソン・トリクローム染色の4種類を基準として,これにEVG染色などの弾性線維染色を加えた5種類が一般的に行われる.日本腎臓学会も以上の5種を基本染色の指針としている.HE染色は総合的な情報を提供してくれるが,詳細な病変の情報を得ることは困難で,マッソン・トリクローム染色は線維化や血管壁などへの沈着物の有無がわかりやすい.一方,PAS反応やPAM染色は糸球体基底膜の変化やメサンギウム細胞とメサンギウム基質の相互関係,血管病変などの変化を明瞭に把握できる.PAM染色はPAS反応に比較して糸球体基底膜が明瞭に染色され,電子顕微鏡の染色としても応用可能で,光顕所見を電子顕微鏡標本の所見と併せて病理診断を行うことが可能である.以上のように腎生検ではHE染色と多種の特殊染色が行われており,これに伴って染色毎の薄切厚も考慮しなければならい.また,腎生検では薄切面が変わってしまうと糸球体構造の病変部が変わってしまうため、連続切片作製によって三次元的な組織構造の情報が必要となる.
腎臓,特に腎生検を中心として特殊染色の有用性と染色のポイント,切片作製の注意点について解説する。