滑走式ミクロトームによる連続切片作製方法
【質問事項】1.リボン状切片作製の観点として,以下について見解はございますか.
・ブロックの縦置き(長軸),横置き(短軸)の違い.
・ブロックを冷却したもの,室温の違い.
・加湿器の使用.
・適したパラフィンの特徴.
2.替刃の切れ味を落とす目的は何でしょうか.また,「豆腐」を削る回数はどのように決めますか.
3.ブロックを綺麗にゆがみなくトリミングする,リボン状の切片を取り除く技術.これらの難易度は,新人職員の習得期間に例えると,どのくらいでしょうか.
【回答】
1.
・縦置き(長軸)より横置き(短軸)の方が,刃にかかる抵抗がより少ないため,少しでも刃を長持ちさせるため,横置き(短軸)にしていると思います.一度作った(連続切片用の)刃で20個前後のブロックを薄切しますので,横置き(短軸)の方が効率的と考えます.
・ブロックを冷却すると確かに切りやすくなりますが,温度変化で厚い薄いができるので,その場合は息かけの呼気の温度を変えて対応するか,ブロックの膨張の影響を少なくするため,早く切ると比較的均一になります.薄切をする部屋の温度をある程度低くすれば,ブロックの冷却はしなくても切れます.
・加湿器は連続切片を作製する際に使用した経験がありません.ミストの角度と速度を上手く調性すれば切れるかも知れません.
・58~60℃の硬パラフィン以外使ったことがありません.軟パラフィンでは作製困難と思いますが,ブロックを充分冷やせば切れるかも知れません.
2.替刃の切れ味を落とす目的は,ミクロトーム替刃のS35(フェザー)をそのまま使用すると刃の切れが良すぎてリボン状に繋がらないためです.少し切れ味を落とすことで,リボン状に繋がりやすくなります.
「豆腐」を削る回数ですが,粗動ハンドルで厚さを調整しながら切れ味を調整しますので,人によっても回数が全然違います.また,替刃のロットによっても多少変わりますので,一概に何回とも言えませんが,厚めで少ない回数を削るより,若干薄めで回数を多く削る方が,刃が長持ちする傾向があります.私は60回前後で調整していました.
3.滑走式ミクロトームによる連続切片の作製は,技術的には特に難しくありません.刃の状態を連続切片が取れる状態にしてやれば,おそらく半日以内に切れるようになると思います.刃の切れを適切に調整できるようになるまでに少し時間がかかります.新人職員の習得期間は,あくまで自施設での経験になりますが,大体2週間くらいと考えます.
【追加のご発言】
滑走式ミクロトームによる連続切片作製は,技術的に特に難しいものではありません.条件さえ整えば誰でもわりと簡単にできると思います.是非一度試してみてください.