HOME > 最新例会抄録 > 乳癌取扱い規約第19版:病理項目の改訂ポイント
森谷卓也
川崎医科大学
2025年6月に、乳癌取扱い規約第19版が発刊された。7年ぶりの改訂となったが、病理編を主体に、これまでの規約から多くの項目が刷新され、用語の定義なども明確化した。今回、改訂の骨子と、具体的な内容について概説する。
病理編については、国際的な分類(WHO分類)および報告様式(ICCR)を強く意識し、組織型分類の再編が行われた。HWOとは対応表が掲載され、関係がより明らかになった。日本独自の分類法であった浸潤性乳管癌の組織亜型が削除され、代わりに浸潤形態と間質量、非浸潤巣の種類と量を記載することとした。浸潤巣における腺管形成性は組織分類ではなくグレードに反映させた。これまで表記が十分でなかった前駆病変、非浸潤性小葉腫瘍は独立させ取り上げた。非浸潤癌の亜型として新たなタイプを導入するとともに、病理医が診断に苦慮する乳頭状病変については鑑別表を用いて解説した。Paget病、混合型浸潤癌の定義も変更となった。切除標本の診断においては肉眼型分類が復活した。また、浸潤径の計測法をより詳細に明らかにした。進行期分類においては、特にT4の解説を強化した。バイオマーカー検査については、ホルモン受容体はより汎用性の高い占有率(%)の記載を求めるとともに、HER2低発現やPD-L1に対するコンパニオン診断の解説が追加された。組織学的治療効果の判定においては、リンパ節転移巣の評価も含めて病理学的完全奏功(pCR)を評価することとした。巻末には切除検体の病理学的記載事項(チェックリスト)が示された。
以上のような改訂点を十分に理解したうえで病理診断に臨む必要があるが、将来の新たな評価法の開発や、現場において使用に際し不明瞭・あるいは不十分な点があればさらなる改訂を検討する必要がある。皆さんの疑問点も含めて議論ができれば幸いである。