HOME > 最新例会抄録 > 回転式ミクロトームの長所と短所
碇 益代
福岡赤十字病院 病理診断科
ミクロトームは,病理組織学の分野において組織標本を薄く切片化するために広く用いられている装置である.滑走式,回転式の2種類が用いられているが,今回,回転式ミクロトームの特徴と長所・短所について,当院での実際の運用を交え紹介する.
回転式ミクロトーム(rotary microtome)の動作原理は,ホイールを回転し試料を上下する事による.固定されたナイフに対して試料台が上方に移動すると,指定の厚さだけ前進する.試料台を下方に移動すると前進した分の厚さの切片を得ることができ,再び上方に移動し同じ動作を繰り返すことにより連続切片となる.リボン状の連続切片を得ることができる点が回転式ミクロトームの最大の特徴である.長所としては,短時間に複数の切片が得られ,しかも連続切片なので薄切した切片の順番も管理しやすい.これに対し,短所としては,大型切片での薄切は行えない点が挙げられる.これは回転式ミクロトームでは試料が上下するストロークの距離に制限があるためである.
一般的に滑走式ミクロトームでは,試料の上をナイフが通過する速度を一定にしなければ均一な厚さの切片を得ることはできないため,薄切技術の習得には熟練を要するとされる.一方,回転式ミクロトームではホイールを一方向に回転させ続けるという単純な動作で薄切を行う.これは同じ速度でホイールを回転させやすく,技術習得が比較的スムーズに行えるため,スタッフ教育や人材のローテーション等の際にも効果を発揮する。
遺伝子検査や免疫組織化学が多用される現代,数十枚単位で切片を作製する機会が増えている.生検材料など,腫瘍細胞の有核細胞割合が少ない場合には,さらに多数の標本枚数が必要となる.その際にも,一度に多数の切片を効率的に作製可能な回転式ミクロトームは有用であると考える.