当施設におけるアミロイドーシスに対する免疫組織化学染色の運用
【質問事項】
1.免疫染色のプロトコルを決定する際の手順や気を付けるべき点はありますでしょうか.

2.様々なアミロイドによって反応が異なるとのことですが,コントロールブロックはどの様な症例を選択すべきでしょうか.


【回答】
1.まず,大前提としてコントロールとする組織の固定時間など,プレアナリシス段階を一定の範囲内で統一をすることです.プロトコル決定に関しては,データシートや文献,また実際にその抗体を使用している施設に問い合わせるのが良いと思います.
プロトコル決定に重要な条件として賦活化法と希釈倍率がありますが,その他の条件は固定しておくと良いです.機械染めの場合は問題が少ないと思いますが,手染めの場合は各工程で再現性のある方法での検討が重要となります.

2.β2ミクログロブリンではインターナルコントロール,AA,ATTRでは専用のコントロールを使用しています.コントロールは適切に固定されており,染色強度が中等度程度のものを選ぶとよいと思います.しかし,κおよびλに関しては,当施設では良好なコントロールブロックを準備することができないため,現状ではコントロールなしで運用しています.そのため,使用時の抗体希釈を徹底しています.


【追加のご発言】
1.賦活化は,一般的に賦活化処理なし,加熱処理,蛋白分解酵素処理が用いられており,その他に今回のようなアミロイドに対するギ酸処理などがあります.良好な染色性が得られるのであれば,できる限り賦活化処理なしを選択する.また,賦活化を行う場合は,よりダメージの少ない方法を選択するのが良いと思います.
希釈倍率は,賦活化条件決定後に基準となる希釈倍率から倍々希釈を行います.明瞭な陽性像が得られ,背景染色など非特異的陽性像の抑えられる範囲で強度確認をしながら,病理医と相談して決めることをお勧めします.その他の詳細は成書をご確認ください.

2.研究班抗体の染色条件に対しての再現性を高めるため,コントロールを用いないκおよびλに関しては,使用時希釈を徹底しています.本来であれば陽性像の有無が重要である染色のため適切なコントロールを立てるべきですが,対応できておりません.今後の課題と認識しています.

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