■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第110回日本病理組織技術学会 > PAM(periodic acide-methenamine-silver)染色について ―PAM染色の温故知新―

PAM(periodic acide-methenamine-silver)染色について ―PAM染色の温故知新―

阿部 仁

がん研有明病院


 病理組織技術学会は病理技術研究会を前進として110回を迎えるが、この間に多くの特殊染色、免疫組織・細胞化学、電子顕微鏡、遺伝子関連などのテーマが取り上げられてきた。
 多くの特殊染色がHE染色の補助診断として染色されなくなっているが鍍銀、特にPAM染色は腎臓では現在も必須の染色となっている。
 採取された腎組織は光学顕微鏡的検索、免疫組織化学的検索、電子顕微鏡的検索が行われ、光学顕微鏡的染色は施設間で多少の違いはあるもののHE染色、PAS反応、PAM染色、マッソン・トリクローム染色の4種類が基本で、これにEVG染色などの5種類が行われる。HE染色は病変の総合的な情報を提供してくるが病変の詳細な情報を得ることは困難である。PAS反応やPAM染色は糸球体基底膜の変化やメサンギウム細胞とメサンギウム基質の相互関係、血管病変などの変化を明瞭に把握できる。また、PAM染色はPAS反応に比較して感度がよく糸球体基底膜が明瞭に染色され、HE染色を重染色するため病変の総合的な情報も把握することができる。しかし、染色操作が難しく鍍銀不足や過剰な鍍銀、切片・染色バットへの顆粒沈着防止など様々な工夫が当学会で発表されてきた。
 PAM染色で綺麗な標本に仕上げるために最も重要なポイントが二つある。
 ①切片が薄いこと。腎臓組織のPAM染色は2μm以下の切片、出来れば1~1.5μmの切片を作製すると糸球体基底膜の肥厚、メサンギウム基質や毛細血管腔の状態、免疫沈着物の有無などがわかりやすい。
 ②メセナミン銀液での鍍銀の良し悪しである。過ヨウ素酸酸化後にチオセミカルバジド媒染を行う。鍍銀効果が向上して、銀液での反応時間が短縮され、非特異的な銀粒子沈着がない綺麗な染色ができるようになった。
 発表では実例を挙げながらPAM染色を綺麗に仕上げるためのポイントについて解説する。


例会抄録一覧へ戻る