仙台赤十字病医誌　Vol.31, No.1, 31-42, 2022

原著

当院で検出されたCoagulase-negative Staphylococci過去6年間の薬剤感受性試験解析と伝播解析の試み

仙台赤十字病院　^1）医療技術部検査部，^2）呼吸器内科

舛甚　　満^1）　　大川　郁子^1）　　堀川　　博^1）
三木　　誠^2）　　

Coagulase-negative Staphylococci Detected in our Hospital Antimicrobial Susceptibility Test Analysis over the Last 6 Years and an Attempt to Propagation Analysis

^1）Department of Clinical Laboratory, ^2）Department of Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Mitsuru MASUJIN^1）, Ikuko OOKAWA^1）, Hiroshi HORIKAWA^1） and Makoto MIKI^2）

要旨

Coagulase-negative staphylococci（コアグラーゼ陰性ブドウ球菌:以下CNS）は健常人の正常皮膚細菌叢として存在しているが，皮膚の損傷した部分より体内に侵入し日和見感染を引き起こす菌としても重要な菌である．感染管理室よりNICUで検出されたCNSの薬剤感受性試験結果が同じパターンを示す株の増加について伝播状況の調査依頼があった．それを受けて2016年1月から2021年11月までに各診療科（病棟含む）から検出された薬剤感受性試験実施株数8,361株の感受性検査データのカテゴリからスコア値を求め，91種類の感受性タイプに分類した．NICUで多数を占める感受性タイプ50，58，70はNICU以外の全診療科外来でも検出され，市中で一般的に検出している菌であった．またCNSは菌群の総称であるため過去に菌名同定したCNS各菌種の薬剤感受性試験結果について比較検討した．その結果同じ感受性結果でも異なる菌種が存在し，今回の感受性タイプから菌の伝播を推測する結果に至らなかった．

Key words: Coagulase-negative staphylococci，スコア値，感受性タイプ，最適化，伝播解析