仙台赤十字病医誌　Vol.31, No.1, 25-30, 2022

原著

東北における広域血液供給体制への変革と成果

日本赤十字社東北ブロック血液センター

中川　国利　　早坂　　勤　　築舘　和良
千葉　広一　　柴崎　　至

Changes and Results of Wide Area Blood Supply System in Tohoku

Japanese Red Cross Tohoku Block Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Tsutomu HAYASAKA, Katsunao TSUKITATE, Koichi CHIBA and Itaru SHIBASAKI

要旨

東北における広域血液供給体制への変革と成果を紹介する．2012年度からの広域事業運営に伴い，東北6県で採血した血液を仙台市の東北ブロック血液センターに集め，検査・製造後に各地域血液センターに分配した．また新たに2か所の血液供給出張所を開設し，県境を越えた供給を3か所で行った．さらには高速道路網の拡充もあり，より迅速な血液供給が可能となった．また医療機関や行政の理解と協力により，血液センター管理の備蓄医療機関制度を全廃した．ブロック内地域センターの採血役割分担や血液搬送の見直しにより，2020年度の血小板製剤の採血4日目運用率は12.6%に減少し，ABO型HLA適合血小板率は70.6%に向上し，赤血球製剤および血小板製剤の期限切れ率はそれぞれ0.17%，0.98%に漸減し，全ての血液製剤で安定供給体制を確立した．過疎化が顕著な東北は血液供給においては様々な課題があるが，広域事業運営の進展に伴い改善しつつある．

Key words: 血液供給，血液供給体制，血液事業運営，採血役割分担，献血推進