仙台赤十字病医誌　Vol.30, No.1, 49-55, 2021

原著

当院妊婦の風疹，麻疹，水痘，ムンプス抗体保有率および産後ワクチン接種率の検討

仙台赤十字病院　^1）産婦人科，^2）薬剤部

望月扶紗子^1）　　佐藤　多代^1）　　石橋　摩耶^2）
鈴木　伸男^2）　　松原　美紀^1）　　工藤　理永^1）
笠原　祥子^1）　　氷室　裕美^1）　　柳田　純子^1）
齋藤　美帆^1）　　太田　恭子^1）　　中里　浩樹^1）
千坂　　泰^1）　　鈴木　久也^1）

Rubella, Measles, Varicella, and Mumps:Seropositivity Rates in Pregnant Women and Postpartum Vaccination Recommendation

^1）Department of Obstetrics and Gynecology, ^2）Department of Pharmacy, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Fusako MOCHIZUKI^1）, Kazuyo SATO^1）, Maya ISHIBASHI^2）, Nobuo SUZUKI^2）, Miki MATSUBARA^1）,
Rie KUDO^1）, Shoko KASAHARA^1）, Hiromi HIMURO^1）, Junko YANAGIDA^1）, Miho SAITO^1）,
Kyoko OTA^1）, Hiroki NAKASATO^1）, Hiroshi CHISAKA^1） and Hisaya SUZUKI^1）

要旨

【目的】 当院妊婦の風疹，麻疹，水痘，ムンプス抗体保有率および産後ワクチン接種率について検討する．【方法】 2014年6月〜2019年5月を調査期間とし，検査内容，接種勧奨方法をもとに2014〜2015年，2016〜2017年，2018〜2019年の各期間における抗体保有率および産後ワクチン接種率を調査した．さらに，風疹については出生年代別にも検討を加えた．【結果】 調査期間内において，水痘，ムンプスは抗体保有率に有意差を認めなかったが，風疹，麻疹は，経時的に低下傾向がみられた．ワクチン接種率は，接種勧奨により有意に上昇した．風疹について出世年代別に評価すると，年代を追うごとに抗体保有率は低下していた．【考察】 若年者において抗体保有率は低下しており，その原因として，ワクチン接種で一度獲得した抗体が経時的に減弱するSecondary Vaccine Failureの関与が示唆された．また，多職種による複数回のワクチン接種勧奨は有効である．

Key words: 妊婦，ワクチン，母子感染，先天性風疹症候群，Secondary vaccine failure