仙台赤十字病医誌　Vol30, No.1, 35-39, 2021

原著

当科の腹腔鏡下胆嚢摘出術における術中胆道造影の有用性の検討

仙台赤十字病院　外科

佐藤　　純　　廣澤　貴志　　金子　直征
小林　照忠　　角川陽一郎　　舟山　裕士

Clinical Study of Intraoperative Cholangiography on Laparoscopic Cholecystectomy in Our Department

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Jun SATO, Takashi HIROSAWA, Naoyuki KANEKO, Terutada KOBAYASHI,
Yoichiro KAKUGAWA and Yuji FUNAYAMA

要旨

胆嚢摘出術時の術中胆道造影は，総胆管結石の術中診断や胆管走行，術中胆管損傷の確認に有用とされている．今回我々は，当科の腹腔鏡下胆嚢摘出術における術中胆道造影の有用性を検討した．2016年1月から2019年12月までに当科で胆嚢結石症や胆嚢炎のため腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した308例を対象とし，胆道造影の施行群と非施行群に分けて検討を行った． 308例のうち，施行群は146例，非施行群は162例であった．施行群では有意に急性胆嚢炎が多く，手術時間が長く，術後のAST値，ALT値が上昇した．施行群で胆管損傷を確認し術中に修復した症例は2例であり，総胆管結石を認め採石に至った症例は1例であった．施行群で総胆管結石なしと判断された症例のうち8例に術後精査で総胆管結石を認めた．術中胆道造影は総胆管結石の診断目的よりもむしろ胆管の走行確認や損傷の発見に有用であり，適応を絞って施行するべきと考えられた．

Key words: 腹腔鏡下胆嚢摘出術，術中胆道造影，胆嚢結石症